東京高等裁判所 昭和24年(新を)1347号 判決
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(理由)
新津区検察庁検察官副検事村山得三の控訴趣意及び被告人両名の弁護人小川利明の答弁は、それぞれ末尾添附の控訴趣意書及び答弁書記載のとおりである。よつて記録を調査するに、本件は新津区検察庁検察官副検事村山得三が被告人両名は共謀の上昭和二四年三月六日午後五時頃より翌七日午前六時頃迄の間に新潟県南蒲原郡田上村大字湯川一六七九番地阿部治作方土蔵の二階箪笥の中から同人所有の男冬物黑木綿長紋付等合計九八点の衣類を窃取したものであるとして、公訴を提起し、原審が右犯罪事実の証明なしとして、無罪の判決を言渡した事件であるが、記録中には右窃盜の犯行を疑わしめる資料がないでもない。仮りに然らずとするも被告人両名の賍物運搬の犯行を疑わしめる資料があることを窺うことができるから原審はよろしく審理の経過において検察官に対し訴因を賍物運搬の事実に変更すべきことを命ずるか又は該事実を起訴状記載の窃盜の公訴事実に追加すべきことを命じ以て被告人両名の賍物運搬の犯行の成否をも審判すべきものであることは多言を要しない。従つて原審はこの点において審理を盡さざる違法があつて該違法は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、原判決は破棄を免れない。
(ロ)そこで当裁判所は新津区検察庁検察官副検事村山得三の控訴趣旨を判定するに先だち、前記考量の下に本件について当審検事に対し訴因並びに罰条の変更を命じたところ、当審検事は末尾添附の訴因変更の申請書並びに罰条変更の申請書記載の通り訴因並びに罰条を変更した。しかしながら被告人両名の出頭なき事件にありては右変更に対する被告人両名の防禦を全くすることができないのでこの段階においては当審で自判するのは適当ではないと考えられる。被告人両名の弁護人小川利明は右訴因並びに罰条の変更は控訴審が事後審たる性質を有することにかんがみ不適法である旨主張するけれども、基本たる事実関係において起訴状記載の公訴事実と同一なる限り控訴審においても訴因並びに罰条の変更は許されるものと解するを相当とする。